通訳案内士の資格があるのに仕事がない?データで見る現状と、仕事につなげる方法

この記事のポイント
- 観光庁の調査では、回答した全国通訳案内士4,294人のうち、ガイドとして就業していない人が2,439人と、半数を超えていました。
- 一方で、英語・イタリア語・フランス語のガイドが足りず、月によっては依頼を受けられないことがあるという報告もあります。仕事がないのは、需要がないからとは限りません。
- 観光庁の「通訳案内士登録情報検索サービス」で自己PRを公開すると、旅行会社やホテルなどに見つけてもらえるようになります。
- 得意な地域・分野・言語を具体的に示し、依頼の入り口を複数持つことが、仕事につなげる近道です。
資格を持っていても、活動していない人は多い
全国通訳案内士の登録者は、2024年4月1日時点で27,312人です。観光庁の検討会が有資格者に行ったアンケートでは、回答した全国通訳案内士4,294人のうち、ガイドとして就業している人は1,855人、就業していない人は2,439人でした(観光庁「ガイド人材の活性化に係る検討会 中間とりまとめ」(令和6年6月))。
同じ報告書は、登録に更新の制度がなく、ガイドをやめても廃止の届け出をしていない人が多いとみられることにも触れています。登録者数の多さが、そのまま活動している人の数ではないということです。年代や言語の内訳、ガイドを使う訪日客の割合などのデータは、「データで見る通訳ガイドの今|登録者数・活動の実態・訪日客のガイド利用」でまとめています。
それでも、ガイドが足りない場面はある
報告書によると、現場では英語・イタリア語・フランス語のガイドが不足し、月によっては依頼を受けられないこともあった一方、中国語のガイドは団体ツアーで雇われる機会がほとんどなくなってきているという報告がありました。また、活動している有資格者は50代・60代が大半を占め、若い担い手を増やすことが課題とされています。
つまり、需要があるのに届いていない、時期や言語によって偏りがある、というのが実態に近いと考えられます。依頼の入り口を増やし、自分が得意なことをはっきり示すことで、仕事につながる可能性があります。
資格を仕事につなげる方法
1. 観光庁の「通訳案内士登録情報検索サービス」で自己PRを公開する
観光庁は、通訳案内士の情報発信の場として「通訳案内士登録情報検索サービス」を設けています。希望する通訳案内士は、自己PRや得意分野を公開でき、旅行会社・ランドオペレーター・ホテルや旅館・日本版DMOなどが、訪日客のニーズに合う通訳案内士を探すのに使います。公開状況の確認や登録情報の変更は、登録した自治体の窓口で行います(観光庁:通訳案内士登録情報検索サービス)。
2. 得意な地域・分野・言語を絞って示す
「英語でどこでも案内できます」よりも、「京都の寺社と精進料理」「酒蔵めぐり」「工場や物件の視察の通訳」のように具体的なほうが、依頼する側は選びやすくなります。報告書でも、ガイドを使ったことがある訪日客の利用場面は、歴史的な名所・伝統芸能・文化施設・飲食など多岐にわたっていました。
3. 観光以外の依頼にも目を向ける
商談や展示会、工場や物件の視察で来日する人にも、言葉と土地勘の手助けが必要です。観光の閑散期にも依頼がありうるため、観光の案内と組み合わせると、仕事の波をならしやすくなります。
4. 自分で直接依頼を受けられる場所を持つ
マッチングサービスや自分のWebサイトで、お客様から直接依頼を受ける方法もあります。その場合、交通や宿の手配、旅行の計画づくりに料金をつけると旅行業の登録が必要になることがあるので注意してください(「通訳ガイドの副業で注意したい旅行業登録と白タク」)。
5年ごとの研修も忘れずに
全国通訳案内士は、5年ごとに観光庁が登録した研修機関の研修を受けることが義務になっていて、受けないと登録を取り消されることがあります(観光庁:通訳案内研修)。報告書のアンケートでは、研修を受けていない理由として「なんとなく後回しにした」「受講義務を知らない」が多く挙がっていました。これから仕事を増やしたい人は、受講期限を確かめておきましょう。
jpwork hubで、資格と得意分野を活かす
jpwork hubは、日本を訪れる海外のお客様と、日本に住んで英語などの外国語を活かしたい人をつなぐサービスです。パートナーとして登録すると、通訳・アテンド・観光の案内・食の案内などのプランを、自分で決めた料金で公開できます。届いた依頼に応じるかどうかは、日程や内容を見て自分で決められるので、週末だけの副業としても活動できます。
登録は無料で、手数料がかかるのは依頼が成立して決済されたときだけです。今はサービスを始めたばかりで、依頼の数をお約束することはできませんが、最初のパートナーとして一緒にサービスを育てていただける方を歓迎しています。
全国通訳案内士・地域通訳案内士の資格をお持ちの方は、登録証などを提出していただくと、資格を確認済みとしてプロフィールに表示できます。お客様は、資格の確認状況を見たうえで依頼先を選べます。
よくある質問
全国通訳案内士の登録に更新はありますか?
登録の更新の制度はありません。ただし、5年ごとの研修の受講が義務になっていて、受けないと登録を取り消されることがあります。
登録情報検索サービスには、どうすれば自分の情報を公開できますか?
公開は希望する人だけが対象です。手続きや公開状況の確認は、通訳案内士として登録した自治体の窓口で行います。詳しくは観光庁のページをご覧ください。
資格がなくてもガイドの仕事はできますか?
2018年の法改正で、資格がなくても報酬を受け取ってガイドができるようになりました。ただし「全国通訳案内士」などの名称は、資格を持つ人しか使えません(「通訳ガイドに資格は必要?」)。
写真の出典:鎌倉・大船観音寺で観光客に説明するガイド:Eryn Navarro(U.S. Navy)/パブリックドメイン(Wikimedia Commons)。