コラム

通訳ガイドの副業で注意したい旅行業登録と白タク|案内・手配・送迎の線引き

この記事のポイント

  • 通訳ガイドの副業に関わる法律は、主に通訳案内士法・旅行業法・道路運送法の3つです。
  • 旅行の行程を作って売ったり、交通や宿を手配して報酬を受け取ったりすると、旅行業の登録が必要になります。ガイド料だけを受け取る場合でも、行程を企画すると旅行業に当たるとされています。
  • 登録なしで、報酬を受け取って自家用車でお客様を運ぶと「白タク」として道路運送法違反になります。
  • 行き先・交通・宿はお客様に決めてもらい、ガイドは案内と通訳に集中すると、決まりに沿いやすくなります。

通訳ガイドに関わる3つの法律

  • 通訳案内士法:資格の名前を名乗れるのは資格を持つ人だけです。案内そのものは資格がなくてもできます(「通訳ガイドに資格は必要?」)。
  • 旅行業法:旅行の行程を作って売ること、交通や宿の手配などに決まりがあります。
  • 道路運送法:お客様を車で運んで料金を受け取ることに決まりがあります。

旅行業登録が必要になる行為

旅行業法では、報酬を得て、次のような行為を行う事業を「旅行業」としています(旅行業法 第2条第1項。e-Gov法令検索:旅行業法)。

  • 行き先・日程・交通や宿・料金を決めた旅行の計画を作り、交通機関や宿と自分の計算で契約する
  • 旅行者のために、交通や宿の予約を代わりにする、仲介する、取り次ぐ
  • 旅行に関する相談に応じる

旅行業を営むには登録が必要で(同法 第3条)、登録しないで旅行業を営むと、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(またはその両方)の対象になります(同法 第74条)。登録の種類や窓口は、観光庁:旅行業法概要にまとめられています。

ガイド料だけでも、行程を企画すると旅行業に当たる

鹿児島県の案内では、旅行者から依頼を受けて、行き先から交通手段の手配までを含む行程を作って売る行為を旅行業の例に挙げ、「ガイド料」のみを受け取る場合でも、旅行の行程などを企画・計画した場合は旅行業に当たるとしています(鹿児島県:旅行業登録が必要となる行為について)。

線引きの目安

実際に登録が必要かどうかは、内容ごとに判断されます。迷うときは、住んでいる都道府県の旅行業の担当窓口に相談してください。目安としては、次のように考えると分かりやすくなります。

  • 決まりに沿いやすい:お客様が自分で決めた行き先・日程・交通・宿に合わせて、当日に付き添い、外国語で案内や通訳をする。
  • 旅行業に当たるおそれがある:交通や宿を含めた行程を作って売る。お客様の代わりに交通や宿を予約して手数料を受け取る。行程づくりや旅行の相談に料金をつける。

自家用車での送迎は「白タク」に注意

国土交通大臣の許可を受けずに、有償で自家用車を使って旅客を運ぶ行為(白タク)は、道路運送法違反になります(中部運輸局:白タクについて)。道路運送法は、自家用車を、災害のときなど一部の場合を除いて、有償で運送に使ってはならないとしています(第78条。e-Gov法令検索:道路運送法)。

運送の許可や登録がいらない場合

国土交通省のガイドラインをまとめた北海道運輸局の資料では、次のような考え方が示されています(北海道運輸局:許可又は登録を要しない運送に関するガイドラインについて)。

  • 無償で運ぶ場合に、ガソリン代・道路の通行料・駐車場代などの実費を受け取ることは認められる。
  • 国や自治体などが認める資格を持つ観光ガイドが、案内のためにお客様を運ぶ場合で、運送に特定した料金を受け取らないときは、許可や登録はいらない。
  • ただし、ガイドと名乗っていても、実際には目的地まで運ぶだけの場合は、許可や登録が必要。

資格を持たないガイドの場合は、上の2つ目の例には当たりません。許可や登録が必要かどうかは、最終的には事案ごとに判断されます。迷うときは、移動には電車・バス・タクシーを使い、自分の車でお客様を運ぶのは避けると安心です。

トラブルを避けるために、事前に決めておくこと

  • 行き先・日程・交通・宿は、お客様に決めてもらう(おすすめを伝えるのはかまいませんが、予約はお客様にお願いする)
  • 見積もりには、案内・通訳の料金と、お客様が自分で払う費用(交通費・入場料・食事代など)を分けて書く
  • 移動の手段と、だれが費用を払うかを、当日の前に確かめておく

jpwork hubで、案内と通訳のプランを公開する

jpwork hubは、日本を訪れる海外のお客様と、日本に住んで英語などの外国語を活かしたい人をつなぐサービスです。パートナーとして登録すると、通訳・アテンド・観光の案内・食の案内などのプランを、自分で決めた料金で公開できます。届いた依頼に応じるかどうかは、日程や内容を見て自分で決められるので、週末だけの副業としても活動できます。

登録は無料で、手数料がかかるのは依頼が成立して決済されたときだけです。今はサービスを始めたばかりで、依頼の数をお約束することはできませんが、最初のパートナーとして一緒にサービスを育てていただける方を歓迎しています。

jpwork hubでプランを作るときも、案内や通訳の内容と料金を書き、交通や宿の予約はお客様にお願いする形にすると、この記事で説明した決まりに沿いやすくなります。

パートナー募集の詳しい内容を見る

よくある質問

おすすめの観光コースを教えるだけでも、旅行業になりますか?

旅行業法は、報酬を得て行う「旅行に関する相談に応じる行為」も旅行業に含めています。案内の途中でおすすめを伝えることと、行程づくりや相談そのものに料金をつけることは分けて考え、迷うときは都道府県の旅行業の担当窓口に相談してください。

お客様の代わりに新幹線の切符を買ってもいいですか?

手数料を受け取って交通の手配を代わりに行うと、旅行業に当たるおそれがあります。切符はお客様自身に買ってもらうか、旅行会社を使ってもらうと安心です。

自分の車で観光地を回り、ガイド料だけを受け取るのは大丈夫ですか?

資格を持たないガイドの場合は、行政の資料に示された「許可や登録がいらない例」に当たりません。実態によっては白タクと判断されるおそれがあるため、電車・バス・タクシーを使うのがおすすめです。

写真の出典:京都・伏見稲荷大社の千本鳥居の参道:Luka Peternel/CC BY-SA 4.0(トリミング・縮小あり) Wikimedia Commons。